雪くんは、まだ足りない。


知ってるはずない。




「顔隠さないで」


「………」


「せっかく可愛いのに」


「…っ!」




かっこいい人はどうしてこういうことをサラッと言えるの!?


やっぱりこういうことに慣れてるんだ!!


絶対わたしからかわれてる…っ!




「また赤くなってる」


「なってない…!」


「ほんと可愛いね、昔から変わらない」




もしかして…。


ほんとにどこかで会ったことある…?


遊馬くんの顔を…見てみようと覆っていた手を少しだけずらそうとした。




「こらー!何騒いでる!!」




担任の西山先生の声がして、人の足音がたくさん鳴る。