雪くんは、まだ足りない。


「……っ」


「そいつの事、好きなんだ」


「…!ち、ちがっ」




わたしが好きなのは雪くん。
そう言ってしまいそうになる。




「じゃあ何でキスマークなんて付けさせてるの」


「付けさせたわけじゃ…っ」


「言ったよね、蘭ちゃんの事になると我慢できないって」




長くて細い雪くんの指先が赤い跡をなぞる。
それだけなのに腰の辺りがそわっとくすぐったい。


雪くんの手が首の後ろを掴んでグッと前のめりの体勢になる。


近くなった雪くんの目にはわたしだけが映っている。




「蘭ちゃんが男に簡単にそんなことさせる女だとは思わなかった」


「……」


「反論しないんだ、そんなに相手の男が大事?」