雪くんは、まだ足りない。


金縛りにあったように返事をしようとするのに言葉が出てきてくれない。




「言えないの?」


「……」


「それとも、それ付けた相手に俺が仕返しするのが嫌だから言わないの?」




雪くんは暴走族の総長。
その気になれば今言ったことは絶対にやり遂げる。


だって対面式の時、全校生徒の前で殺すって言っちゃうくらい……きっと本気でしようとしてるんだ。


わたしが……七枷先輩の名前を出せば、七枷先輩が危ない目にあってしまうかもしれない。


雪くんに近づいたらだめって言われたのに、人助けだとはいえ近づいて行ったのはわたし。
わたしが全面的に悪い。


それなのに七枷先輩がそういうことになってしまうのは……絶対に嫌だ。