雪くんは、まだ足りない。


とにかくこのままだとバレちゃいそうだから一旦離れてもらって……。




「遊馬くんあの、」


「呼び方、教えたよね」




抱き締めていた腕が離れたかと思えば、わたしの座っている回転椅子を180度回転させる。


両膝をついた遊馬くんと目が合う。


わたしを見上げる遊馬くんと、遊馬くんを見下ろすわたし。


当たり前だけどいつもは逆だから変な感じがする。




「なんて呼ぶんだっけ」


「…っ、雪くん…」




わたしが言うと嬉しそうに笑う雪くんにキュンっとしてしまう。


か、可愛い……
やっぱり成犬じゃなくて雪くんは子犬だ。


空いてる方の手でよしよしと頭を撫でる。