雪くんは、まだ足りない。


「馬鹿、持てないくせに」


「持てます…!」


「いい、1人で持てるから返せ」




紙袋2つをサッと持ってスタスタ歩いて行ってしまう。


わたしの手元に残ったひとつの紙袋は七枷先輩が持っていたのとは違い、何も入っていないかのように軽い。


…手伝うつもりが、気を使ってくれた?




「早く持ってこいよ」


「はい…!」




七枷先輩の所に紙袋を持ってついて行く。


荷物の届け先は生徒会室だったみたいで、扉の前で立ち止まった七枷先輩は中に入ろうとしない。


首を傾げながらも一緒に待っていると




「手、塞がってるんだけど」


「はい?」


「開けて欲しいってこと」


「あ、ああ…」