雪くんは、まだ足りない。


またまた首元に顔を寄せられた。


離れて欲しくて両肩に手を置いて押してみるけどビクともしない。


男の人、ましてや遊馬くん。
わたしなんかの力でどうにかなるわけない。


全神経が首元に集まる。
体全身に力が入ってしまう。




「力、抜いて」


「無理…!」


「じゃあまた今度、俺が教えてあげる」




そう言った瞬間、チュッと音が聞こえた。


聞こえた後すぐに離れた遊馬くんは満足げ。


何が起こったかわからないわたしに




「立てる?」




なんて。
まるで何もなかったですよとでも言うよう。


遊馬くんに手を引かれて部屋を出る。


ソファーには3人が部屋に行く前と変わらず座って談笑をしていた。