雪くんは、まだ足りない。


ああ…わたしのことですよね。
はい、邪魔者は退散します。


わたしがパパっと靴箱から上靴を出し履き替えて離れようと歩こうとすると。


七枷先輩を睨んでいた遊馬くんが人だかりの方へ歩き出す。


あれ…どこ行くんだろ。


嬉しい悲鳴が上がる中1人の女子生徒の前で立ち止まった遊馬くんは背中を向けていて表情が見えない。


だけど……。




「謝ってくれる?」


「……え」


「蘭ちゃんに邪魔だって言ったこと謝れ」




声のトーンですごく怒っているのが伝わる。


遊馬くん…そんな事しなくてもいいのに。


女子生徒は今にも泣き出しそうな顔で人混みの中、遊馬くんに背を向けて走り去った。