雪くんは、まだ足りない。


見上げると遊馬くんもわたしの方を見ていたようで微笑みを浮かべていた。




「白組、1位!!」




先生の言葉に歓声が上がる。


またしてやられてしまった……
真っ直ぐいつも想いを伝えてきてくれる遊馬くんに振り回されるわたしの気持ち。


でも、全く嫌とかやめて欲しいとか思わないのは……
わたしがちゃんと遊馬くんのことが好きだから。


繋がれた手も離して欲しくない。


わたしより可愛い人も綺麗な人もたくさんいるけれど、遊馬くんの隣はわたしであって欲しい。


遊馬くんと繋いでる右手に少しだけ力を入れると、遊馬くんも同じように返してくれる。




「好き……」




絶対聞こえない声で呟いた言葉は、次のプログラム案内のアナウンスにかき消された。