雪くんは、まだ足りない。


みんな本気で少しでも遊馬くんに近づきたい、話がしたいって思ってるんだ…。


遊馬くんがどんなにわたしのことを想っていてくれていたとしても、周りはライバルだらけ。


わたしも皆みたいに素直に……遊馬くんに気持ちを伝えないと誰かに取られてしまうかもしれない。


なんだかそれがすごく怖いことに思えた。


テントの中に遊馬くんが入ってくる。


いつもみんなの注目の的の遊馬くんがわたしの目の前にいるってことは、わたしも必然的にその注目の的になっている。




「遊馬くん?くじ何…」




何引いたの?そういう前に、手を握られた。




「蘭ちゃん、一緒に行こ」


「行くって……待って…!」