雪くんは、まだ足りない。



「せっかく勇くんと近づけると思ったのにー!」


「涼乃、残念。…ね、名前なんて言うの?」




東條さんの肩にポンっと手を置いて慰めるように声をかけた日下部さんは、わたしに微笑みながら言う。




「えっと…宮近蘭です」


「蘭、ね。わたしたち中学からの友達なの。良かったら仲良くしてね」




こ、こんな素敵な人たちの友達に…わたしが…!


いいのかな…。


遊馬くん関係で話しかけてくれたみたいだし…。
…それに関しては何も力になれないけど…。




「勇くんにお近付きになりたかった……でもでも!蘭ってすっごい可愛い!!」




しゃがみ込んでいた東条さんはわたしの机に手を置いて下からひょこっと顔を出した。