雪くんは、まだ足りない。


なんでここ?




「ここなら、今授業してるし誰も来ない。多分」


「多分!?」


「他の教師も使ってるだろうし、そこら辺は知らん」




そんな適当な…


でも廊下はすごく静か。
少し前になったチャイムのせいで先生たちは授業をしたり、ほかの仕事をしたりしてるから大丈夫…なのかな。




「ね、蘭ちゃん」


「へ?」




先に部屋の中を探検(そんな広くないけど)をしていたわたしの名前を呼ぶ遊馬くんの方を振り返る。


扉の近くに立っている遊馬くんからガチャっと音がする。


うん?なんの音?




「抱き締めていい?」


「うぇっ!?!?」




突然そんなことを言うから変な声が出た。


だだだだ!?
抱き締め!?!?