雪くんは、まだ足りない。


涼乃ちゃんも伽耶ちゃんの言葉が恥ずかしくて顔を両手で隠す。


「ほらっ、そういうとこ可愛い〜!」って、2人でわたしの髪の毛をわしわし撫でる。


2人はそう言ってくれるけど……自信ないな…。


いつか自信を持って遊馬くんにちゃんと好き、なんて伝えられる日が来るのかな。




「おーーいっ、涼乃ちゃーん!」




頭上から降ってきた声に3人同時に顔を上げる。


眩しいくらい青い空。
…と、3階教室の窓から顔を出して大きく手を振っているのは勇くん。


その視線は涼乃ちゃんへと向けられていた。




「きゃー!勇くーーんっ」




涼乃ちゃんはアイドルでも見たかのように叫び、腕の残像が見えるくらい手を振り返す。