雪くんは、まだ足りない。


わたしに背を向けてどんどん歩いている遊馬くんはあっという間に遠くにいる。


……いけない。
遊馬くんの言葉に舞い上がっちゃ。



『誰かのことを助けようと一生懸命で真っ直ぐで素直な女の子が好きなんだよね』


わたしのことなのかなって……想像しちゃう。
遊馬くんのせいだ。




「あ……遊馬くん…っ」




呼び声に振り向くその人はとてもかっこよくて、とても強くてみんなの人気者。


そんなあなたを独り占めしたいって思うこの気持ちは……一体なんですか…?


もしかして、遊馬くんも同じ気持ちだったりしますか?




「……好き…かも、しれない…っ」




わたしの言葉に顔が赤く見えるのは夕日が遊馬くんを照らしているからでしょうか?