雪くんは、まだ足りない。


扉の前に立ってる人はきっと足で扉を思いっきり蹴ったのだろう…じゃないと鍵がかかってたはずの扉が外から開くはずがない。


口元は笑っているけれど、目は鋭く…声はとても低く嫌な汗が流れそうなほど恐ろしい。


どうして…
わたしがピンチの時いつも助けに来てくれるの…


両腕を掴んでいた2人の先輩はサッとわたしから離れ部屋の奥へと行く。


緊張が走る……息をするのでさえ苦しい。




「あー、そんなことしていいのかな?」


「遊馬くんっ…わたし達はなにも……!」


「だめだよね、こんなことしちゃ。5対1ってズルすぎない?今、5対2になったけど」




遊馬くんはわたしを守るように前に立つ。


それだけなのに安心感が胸の中を占める。