雪くんは、まだ足りない。



「ねえねえ、遊馬くんの彼女さん!」




対面式が終わり教室に戻って自分の席に座り、体育館で起こった出来事を整理する。


遊馬くんに変な宣言されて…わたしの名前まで知ってて…。


何回繰り返しても現実感がない。


だけど腕を掴まれた強い力と、密着した体に伝わってきた体温を覚えてる。


考えただけでドキドキしてきた…。


ほんとに何者なの…。




「ねーってば!」


「…へっ!?」


「やっと気づいた…ずっと話しかけてたのに」


「まあまあ、涼乃(すずの)そんなに大声出さない出さない」




わたしの机の傍には2人の女子生徒が立っていた。