雪くんは、まだ足りない。


このかっこいい顔を見てるとドキドキが止まらない…!


顔を背け落ち着こうと深呼吸する。




「遊馬ーっ!!」


「…っるせ」




強面先生が大きな足音を立てながらこっちに向かってくる。


遊馬くんは大きくため息をついた。


やっと…離れてくれるんだ…。
安心していると。




「またね、蘭ちゃん」


「………え、」




肩に回されていた手を離し、遊馬くんは並んでいる列の前のへ歩いていってしまった。


なんで…わたしの名前…?


知り合い…?いやいやいや、あんなにイケメンだったら覚えてるはずだし…。


どんなに頭の中で考えてもわからないわたしは、先生に言われるまでずっと立ち尽くしていた。