雪くんは、まだ足りない。


また囲まれてる…。
ほんとにモテモテだな…遊馬くん。


女子生徒の声掛けに笑顔で答えていた遊馬くんが顔を前に向けた時、わたしと目が合う。


ドキドキ速くなる胸の音、ふわっと笑う遊馬くんにこの前のことを思い出して体温が一気に上がる。




「ねー、遊馬くん!わたしと付き合って!」




一際、大きな声で言ったその人は遊馬くんに腕を絡ませる。


緑色のネクタイをしているから2年生の人だ。
…遊馬くんと距離が近い……。


モヤモヤモヤモヤ…
胸の中に嫌な気持ちが広がる。


絡ませた腕をぐっと引き寄せて顔を近づける。


そんな状況の中で視線だけをわたしの方に向けた遊馬くん。