雪くんは、まだ足りない。


先週はお母さん同士のドラマ視聴会にも遊馬くんは来なかった。


遊馬くんを見かけるのは廊下でだけ。


あー…ほんとに嫌だ。
伽耶ちゃんの言う通り寂しいって思ってしまってるなんて。


遊馬くんに知られたくない。




「それより!早く行こ、次移動教室だよ」




わたしはそう言って教科書とノート、筆箱を持って席を立った。




「ねえねえ、遊馬くん!今日放課後一緒に出かけない?」


「連絡先!交換しようよー!」


「勇くんだー!まじでカッコよすぎるー!!」




少し遠くから遊馬くんと勇くんがこっちに向かって歩いてくるところだった。


風が吹きキラキラと銀色の髪の毛が揺れる。