雪くんは、まだ足りない。


本気で言ってるのか、それとも……またわたしをからかっているのか。


でも遊馬くんの周りにはたくさんの女の人がいて…。


わたしが知らない世界に住んでいる遊馬くんにわたしは似合わないんじゃないのかな…。




「俺と一緒に居て」




…だめだ
自分で思って泣きそうになってきた…


耐えきれなくてまた涙が滲む。


わたしは遊馬くんから逃げるべくバタバタ暴れると、意外にも呆気なく腕は解かれた。


遊馬くんの方を振り返る。




「…っ…」


「蘭ちゃん…!?」




驚いた顔でわたしに手を伸ばす遊馬くんを無視するように立ち上がり走って教室を出た。