雪くんは、まだ足りない。


遊馬くんは七枷先輩の胸ぐらを掴んで睨み付ける。


七枷先輩は余裕そうに微笑んだ。




「へー、遊馬でも焦るんだ」


「殺すって言ったよな」


「触っただけ、手は出してないよ」


「二度と触るな」


「でも遊馬の女じゃないんだろ?お前になにか言われる筋合いは無い。…離せ」




睨み付けたままゆっくりと七枷先輩の胸ぐらから手を離した遊馬くんは震えるほど拳を強く握り締めていた。


七枷先輩も負けないくらいの強い睨みで遊馬くんを見た後、教室から静かに出て行ってしまった。


立ち尽くしたままの遊馬くんに少し近づく。




「あ、遊馬くん…?」




呼ぶとわたしの方を見た遊馬くんは怒っているような、だけど寂しそうな悲しそうな表情をしていた。