雪くんは、まだ足りない。


近すぎるくらい近づいているのに、さらに体を密着させてくる七枷先輩に後ずさる。


けど背中には冷たい壁。
…もう逃げられない。


それを七枷先輩も分かったようでニヤッと微笑み、顔を近づけてくる。


涙が滲んだ目をぎゅっと瞑った。


いやだ…!
遊馬…くん!


あれ……なんでかな。
なんで遊馬くんのことを……





「蘭ちゃんっ!!」





聞こえた声に目を開ける。
教室の外には息を切らし肩を上下に揺らす…遊馬くんの姿があった。


七枷先輩は小さく舌打ちをしてわたしから少しだけ離れる。




「あす、ま…っ」


「てめぇ…!!」


「だ、だめ!!!!」




七枷先輩の顔を見るなり殴りかかりそうな勢いの遊馬くんに叫ぶ。