雪くんは、まだ足りない。


昨日と同じさっきに満ちた声。


勇くん達の背筋が伸びたのがわかった。


…ほんとに遊馬くんはみんなのリーダーで。
みんなに頼りにされてるんだろうな…。




「…さ、蘭ちゃんはもう帰ろ」


「…えっ」


「もう遅いし、蘭ちゃんのお母さんの心配する」


「会議はどうすんだよ」


「それまでには戻ってくる。天、車貸して」


「へいへい」




天悠くんはスマホを取りだしてどこかに電話し始める。


遊馬くんはわたしの腰に手を回し、エレベーターへと誘導してくれた。




「遊馬くん、会議あるならわたし1人で」


「だめ、1人で帰らせるの俺が怖い」




涼太さんがエレベーターのボタンを押して扉を開けていてくれた。