噂の最強少年は女の子






「ふぁ、司ー今何時…うわ」




あくびと同時に伸び
いまあたしの目に映るのは殺伐とした教室


タイミング悪い時に目を覚ましたみたい




「あ、起きた?今は16時27分だよ」




「あー、茶髪パーマくんどーも」




(しゅう)でいいよ」




「あっそ」



ロッカーの上に座って時計を指し示す手
ご丁寧に分まで教えて貰って律儀なやつ
でも、




「つれないなー

聞かれた時のために色々セリフ考えてたんだけど
やっぱり薫ちゃんは変だから、この状況なーんにも興味無い?」





柊が首を傾げる





「見たらわかんだろ」





「わかるって言うけどさぁ



薫ちゃんが寝てる間にこのクラスのトップ争いが始まって、君が巻き込まれないようにそこに倒れてる司くんだったかな?
彼が必死に君を守ってたこと、ぜーんぶわかってるの?」





「いや、それはわかんなかった」





あたしの机の足にもたれ掛かるように気絶してる


なんか、悪いことしたな



椅子から立ち上がって司の怪我の状態を見てみる
口元がぱっくり切れてて腫れてる
鼻血も出てたのか血が固まったあとがちらほら
ペラっとシャツをめくれば殴られたあと
骨は、折れてなさそうだな
呼吸も脈もちゃんとある




「彼いちばん弱かったよ」




「そう
で、残りのは柊がやったんだ」




司から目を離せば倒れている男たち
外傷はあまり目立たないところを見ると一撃で落としたんだ



「そーだよー
で、残るは薫ちゃん、君だけってあれ?どこ行くの?」




「俺はパス
どうでもいい」





用事もねぇのにこんなとこに居られるかよ
なんて、さっさと帰りたいところだけど
身を呈してあたしを守ったんだ
しょうがないから、司を病院に運んでやることにした
不良校の保健室なんか役に立たなさそうだし


意識のない人間を背負うのは一苦労だけど、あたしとほぼ背丈が変わらない彼を背負って教室を出ようとする




「邪魔」





あたしの横を着いてきたと思えば、入口を足で塞いで通せんぼって
どこの少女漫画を見たんだよ



「ねぇ、僕の相手してよ」




「興味ねぇつってんだろ」





「でも、僕の見解だと、君がこのクラスでいちばん強いと思うんだよね」





「知らねぇよ、どけよ」




背負ってる司を気にしながら、柊を押しのける
くっそ重い