噂の最強少年は女の子




「ヤンキーになりたいのかしんないけど、
見た目より、力があるかだよ?」




まともなこと言われてて司は拳に力が入ったのが分かる
そりゃそうだ、

この世界で力があるのはいかに喧嘩が強いかだから




「んなことわかってんだよっ!!」





「君喧嘩できないでしょ?」





「でも、こんな着丈にあってねぇ制服なら
喧嘩も上手く出来るわけねぇだろ!


なぁ!薫!やりずらかったよな!」





「あ?」






突然話を振られれば眉間に皺を寄せることしか出来ない





「あー、それは長すぎるよ」





「は?今バカにされてる?」






くすくすと肩を震わせて笑う茶髪パーマの顔を見る
じっとあたしを見て離さない


司から標的を変えてあたしに喧嘩売ってんのか




ピリピリとした空気感
それはあたし達ふたりだけのものじゃなくて
教室の至る所から感じる






「いらいらする?殴ってもいいよ?」




両手を上げて丸腰ポーズ



あぁ、なるほど
余裕綽々な顔を見て少し冷静になる


あたしから喧嘩の原因を作らせて、
このクラスから従えていくつもりなんだ



こいつ策士的でムカつくわ





「おい、司」




「なんだよ!なんかこいつムカつく!薫殴れよ!」




「うるせ、指図すんな、あと手を出すなよ


俺は裾直しだけ」





小さくため息を吐いてまた寝る体勢に入る
もうこいつらは居ないものとする




「え、薫…ムカつかねぇのかよ」




「なーんだ、友達じゃないんだ」




「ちっ、もめろよ」




どうでもいい

納得してなさそうな声がところどころ聞こえてきたけど、もうあたしは夢の中に入っていった