噂の最強少年は女の子

-ねぇ、なんであたしに友達出来ないのかな




暗い部屋小さなクマのぬいぐるみに向かって話しかける
あたし以外誰もいない




-今日学校に行ったら誰も目を合わせてくれなかったんだぁ
悪い人の子供とは関わりたくないって





学校で言われた言葉を思い出して悲しくなる

つぶらな瞳であたしと同じように悲しい目をしたクマのぬいぐるみ
ギュッときつく抱き締めれば少しだけ安心する


-あたし何も悪いことしてないのにね





ポソッとつぶやく言葉は広い部屋に響く





-友達ほしいなぁ





-僕がなってあげるよ






ガチャっと扉の開く音と共に真っ暗な部屋に一筋の光

眩しくて目を細めるとあたしと同じくらいの歳の子で





-もう悲しい思いはさせないよ






そう笑ったのは表情を見なくても伝わる
優しい声色だった












ゆっくりと目を開ければ真っ白な天井
一気に現実に引っ張られる






「っ、ゆめ、か」






久しぶりに懐かしい夢を見た
小学生位の時の話





「悲しい思いはさせない…ね」





そう笑う彼はあたしの傍にはいない






「嘘つき」





小さく言葉を漏らせばあの時のように響く






「嘘つき、?」





「っ!?」





あたし以外の声が聞こえてきて慌てて起き上がる
誰?!





ふわふわな真っ白な髪が揺れて





「起きたんやなぁ
なんか、様子見てくれ言われて見に来たんやけど
ぐっすり気持ちよさそうに寝てんのみたら僕も眠たーなってなぁー?
一緒に寝落ちしとったわァ」






ふぁーなんて呑気に伸びをするのはあの時の関西弁