噂の最強少年は女の子

「うわ、何あれ」





校門が見えるところまで引き返した


校門には、先程通った時は人だかりなんてなかった
だけど、いまは何かを囲むように人だかりができてる




まぁ、あたしは関係ない




そっと息を潜めて横を通れば聞こえてくる会話






「ねぇ、お兄さん連絡先教えて?」



「あたしもしりたぁーい♡」






キャピキャピとした会話から取るに、ナンパか何かをしてるようだ
猫なで声で不快


早く通り過ぎよう






「ここの高校ってことはヤンキーさん??」




「えー、でも、何も言わないしヤンキーに見えなーい!」




ヤンキーの人間が有名かもしれないけど
この学校に通ってる、ただの馬鹿なヤツもいるもんな






「やーん、顔真っ赤にして可愛いー!」





歩く速度が自然と遅くなる




顔が真っ赤
その言葉に少し引っかかる

最近誰かその話してた気がする
誰だっけ






「私知ってる!白夜の総長さんでしょ!!」





「…は???」





聞き流していたはずの言葉に足を止めてしまった
女の子たちに囲まれた真ん中にいるのは頭1つ飛び出てる男
すっごく顔が真っ赤で上を見ることしかできていない静の姿





「まじかよ、」






小さくポソりとつぶやく

あんなに堂々としてた総長なのに、
女の子に囲まれれば恥ずかしいのか微動だにしない




そういえばいつかの柊が言ってたな
女嫌いだっけ?







「まぁ、関係ないし」






ほっとこ

そう決めてまた学校に視線を戻す







「わぁ、腕の筋肉すごーい!」




「…」




「腹筋とかもあるんじゃない??」




「えー!見せて見せて!」






「ごめん、これ俺と約束してたから」







人混みをかき分けて、静の腕を掴めば一目散に逃げる



流石に身ぐるみ剥がされるのは見てられない
そんなふうに考えてたら、助ける助けないより先に体が動いてた