噂の最強少年は女の子

顔だけ後ろに向ければ、司の真っ赤の髪と柊の茶髪が見えて
いま、あたしは2人に乗っかられている
司にはギチギチに体重をかけられ首元を締め付けられて
柊は…小刻みに振動がくるからこいつ絶対笑ってる





「べつに、お前の隠してること教えろとは言わねぇけど
楽しいことだけしてもいいじゃねぇか
現実逃避しなきゃ辛いじゃねぇか



聞いて欲しい時に俺に言えばいいじゃん」






「そうだよ薫ちゃん
薫ちゃんは行動はぶっ飛んでるのに、考えること真面目すぎ」






「それ、褒めてんの?」






「褒めてるよ」





くすくすと柊は笑う



意味わかんねぇ
ちょっと真剣に考えてみようと思っても、お腹の圧迫される痛みで集中出来ない





「重すぎて死ぬ」






ギブアップって言えば渋々元の席に戻ってくれる
司の顔を見ればムスッとしていて不貞腐れてる顔





そんな顔を見てれば懐かしい顔を思いだす
あの子に似てるってことは、やっぱり司は信用できるのかもしれない
柊は…今はわかんないけど、良い奴なのかもしれない







「初めて声掛けてくれたのが司でよかったよ」





あの子と重なる部分も含めて司に笑いかける


動きが止まった
瞬きの回数が増える






「はっ!?!え、頭ぶつけたか、?」






「チッ、もう二度と言わねぇ」






「ごめんごめん!もう1回!もう1回だけ!!
この携帯に向かって…ほら!早く!!」






「言うわけねぇだろ」





携帯のカメラを向けられ懇願されるがそんなのは無視
いくら柊が腹を抱えて笑おうと、司に土下座されようともう言わない




だけど





「…"今は"言ってやるもんか」







まだこれから先仲良くいてくれるための保険はかけておこうと思った