桜散る季節
別れの季節と出会いの季節
今回のあたしは後者
新しい出会いが待ってるなんてちっとも期待してないけど
「てめぇ!!!っぐぁ!」
「あ〜あ!新品なのにぃー!!汚ぇじゃねぇか」
少し大きめの学ランなんて馬鹿げた格好をするぐらいだから、多少は楽しくないと困る
今日は入学式だ
こんな晴れ舞台なのに…少し血が滲む制服を見て、今日の夜洗わないとなんて呑気に考える
でも、あたしが胸ぐらを掴んでる男は顔面を青くする一方で
足腰にも力が入ってないみたいだしもう終わり?
「そっちから喧嘩売ってきたのに、もう終わりなんて有り得ないよね?
早く立ってくれる?」
「ぐぅ、も、やめ」
「手を離せ!!」
背後からの大声に少し驚いた
手を離せって、どこのヒーローだよ
声のした方に顔を向ける
そこには、真っ赤な髪をなびかせて肩で息をする綺麗な顔の男
あたしよりもぶかぶかな学ランを引きづって近ずいてくる
「なに?こいつらの仲間?」
胸ぐらを離して地面に落とす
逃げようとする男の腹に一発蹴りを入れればもう動かない
「君の仲間もう落ちちゃった
向こうから喧嘩売ってきたんだけど、まだ遊び足りないんだよね」
指の間接を鳴らして笑ってみる
今興味あるのは目の前で仁王立ちするこの男だけ
雑魚ばっかで体を動かしたりない
体がなまってしまう
「今度はお前が相手」
「ちげーよ、そんなヤツら知らねぇ」
「は?」
吐き捨てられた言葉はあたしが聞き直すのに十分すぎた
じゃあなんで止めたんだよ
ただの偽善者か?
この不良校に?
色々な思考が頭の中を支配する
変な男もいるんだ
「俺はお前に用がある」
ビシッと指を刺されれば、つられてあたしも自分を指す
「お、れ?」
「この学校…いや、この日本のトップを俺たちで取ろう!!!」
「はぁぁぁ?」
手を躊躇なく握られて、輝く瞳に見つめられれば叫ぶ以外何も出来なかった
