あのコワモテ先輩が距離感バグな件について

「えと、あの……」
「固定もせいへんで脚立使うヤツがあるかいな!」
「ぇ、ぁ、えと……と、取りたい本があって…」
「声ちっさいわ、なんて?」
「っ! とっ! 取りたい本があったん、で、すっ!」
「そんなんわかってるわ。でも固定せんと、こうやってまた落ちるで?」
「こう……え? わ?!」

 彼のこうやって、と言う言葉を聞いて漸く現状に目を向けた優月は酷く驚いた。
 どうやら彼の上に落ちてしまったらしい。つまりは今優月は彼の膝の上に座っている事になる。優月はそれはもう酷く焦り始めた。