あのコワモテ先輩が距離感バグな件について

「あ、私寄る所があるのでそこまででいいです。その帰りに傘買いますし……」
「なんで?」

 ハッとして優月は慌ててそう言ったが、虎谷はキョトンとすっとぼけたようにそう返す。

「今日は……親の帰りが遅くて……その、外で食べる予定で……」
「? 家で食べへんの?」
「家……? あ、料理は出来るんですが! 出来るんですけど……親に禁止されてて……」
「禁止?? なんで??」
「あ、う、えっと……」

 優月はどのように説明したらいいかかなり悩んだ。これまでも誰かに理由を話した事はあったが、唯一の友人である七海はまず納得していなかった事を思い浮かべる。