あのコワモテ先輩が距離感バグな件について

「走らせてもたやろ? そりゃこんだけ身長ちゃうんやし歩幅もちゃうかったわーって! ごめんなぁ」
「え? いえ、別に気にしてないですけど……」
「でも息切れてるやん、言わんとダメやで〜? もう一緒帰らへん! って言われたら俺悲しなってたわ〜」
「えぇ?」

 優月は心底不思議そうな顔をする。虎谷と帰るのは本当にこれっきりだと思っていたからだ。今日はたまたま自分が傘を忘れてしまって、虎谷が放っておけなかった。ただそれだけの事だと思っていたからである。