「ぇ、ぁ、ちょっ、ちょっと待って下さいっ」

 そんな虎谷に優月は流石に待ったをかけた。

「なんや? 傘なくて困っとったんちゃうん?」
「うっ……それはそう、ですけど……あの、き、気にしないで下さい……濡れて帰りま──」「やや」
「ええ?」

 食い気味に返された優月が見上げると虎谷は拗ねたような表情をしていた。