「しゃーないやっちゃな〜」

 そんな優月に虎谷はそう言って彼女の手をそっと握る。彼からの急な接触に驚いて優月は勢いよく振り仰いだ。

「俺が傘に入れて送ったる」
「え」
「さ、行くで」

 虎谷の言葉に優月が身を固めてしまう隙も与えないように彼はそのまま歩き出した。