(帰る頃には止んでるといいな……)

 そんな願いが届くとは本気で思っていた訳では無い。それでも折り畳み傘を忘れた今日ぐらいは、と願わずにはいられなかった。

 雨の日は嫌な事を思い出してしまう。優月は窓の向こうにある雨空を見上げる。窓際の席だからか窓の外の景色を見るのはいつの間にか出来た癖のようなものだった。

(……お母さんに怒られてた日は……いつも雨だったな……)