月は顔を見せない

「あれっ、君ってもしかして朝いた子?」
3人組のうちの金髪の生徒が僕に話しかけてきた。
「えっ、僕のこと認識してたの?」
「当たり前でしょ」
「うんうん」
高身長クール系美男子が金髪の人の言葉に答え、
眼鏡をかけた美男子がそれな反応して、頷く。
「僕のことなんか見てないかと思ったよ…」
「見てないわけなくない?!」
金髪の人が少し食い気味に答えてきた。
「え?なんで?」
僕は心の底から疑問に思う。
こんな目立たない奴なんて放っておけばいいのに。
と、眉間にしわを寄せながら思っていると眼鏡を
かけた人が、
「君、自分の顔見たことあるの?」
と僕に問いかけてきた。
「え、自分の顔?そんなに不細工なの?」
僕は自分の顔をまじまじと見たことがないから
分からないけれど、そこまで不細工な顔をしている
のだろうか。
そんなことを考えていたら金髪の人が吹き出しながら、
「違う違う、逆だよ逆」
「逆?どういうこと?」
「あー無自覚かよ…すげーな」
逆?無自覚?え?一体何のことなの?
「君、すごいイケメンだよってこと」
「僕がイケメン?!」
僕ってその枠に入る人間なのか…?
「そうだよ?」
「だからこそ俺達も覚えてんじゃん」
「なるほど…?」
僕ってそんなに駄目な人間ではないのか…?