妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 故にアドルグは、父親の性根まで捻じ曲がっていることを認識した。そもそもの発端が、目の前の伯爵であることは明白だったのだ。

「カラスタ子爵、あなたにもお聞きしておきましょうか?」
「わ、私は別に……す、全ては娘の責任です」
「お、お父様……」

 次に目を向けたカラスタ子爵は、娘と同じようにその体を震わせた。
 それに血の繋がりを感じながらも、アドルグは忌々しく思った。子爵がその責務から逃げて、娘に責任を押し付けようとしているからだ。

 二人の令嬢の行いは、許されるものではない。それに対する罰を、アドルグは与えるつもりだ。
 ただ、その責任の全てが二人にあるとは彼も思っていない。二人の父親と話したことによって、アドルグはそれをより濃く認識している。
 その点において、つい先日失望した両親に対して彼は少し敬意を取り戻した。駄目な所はあったが、それでも二人の精神は気高きものだと、アドルグは思い返したのである。