妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 私は、言い過ぎてしまったのだろうか。だとしたら、申し訳ない。ウェリダンお兄様のことを、傷つけたい訳ではなかったのだが。

「……すまない」
「え?」
「クラリア、すまない。僕はなんと愚かなことを……自分の不出来を妹にぶつけるなど、僕はなんて馬鹿なことをっ!」
「ウェ、ウェリダンお兄様?」

 ウェリダンお兄様は、心配していた私に駆け寄って来た。
 どうやら、私に対して少し語気を強めたことを気にしているらしい。
 しかしそれは、仕方ないことである。私もウェリダンお兄様を怒らせるような言葉を発していたという自覚はある。

 ただ、今重要なのはどちらが悪かったかとか、そういった話ではないだろう。
 私に駆け寄って来たウェリダンお兄様の表情を見て、私はそう思った。今の彼は、いつもの不気味な笑みとは違った表情をしているのだ。