妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ウェリダンお兄様は、窓の外を見ていた。
 もしかしたら私のことなど、既に眼中にないのかもしれない。過去を振り返って、自然と言葉が出てきているようだった。

「だからなんとか、笑おうと思ったんだ。それでいつもするような笑顔を作った。友達に自分は楽しんでいるのだと、伝えたかった……だけど、結果は良いものではなかった。友達は僕の笑顔を見て、驚いたような顔をして、その場はなんとか受け流したみたいだけれど、それからは以前のように付き合うことはできなくなってしまった」

 ウェリダンお兄様にとって、その友達というのは大切な人だったのだろう。
 その友達と離れることになってしまったのは、きっと辛かったはずである。
 しかしそれならどうして、今もその笑顔を続けているのだろうか。そこには疑問があった。離れるきっかけになった笑顔は、わざわざしたいと思えるようなものではないはずだ。