妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 私の口からは、自然と言葉が出てきていた。
 それは言うべきことだったのかは、よくわからない。でも口にしてしまったのだから、もう仕方ないだろう。一度出した言葉を、引っ込められるという訳でもない。
 つまり、このまま突き進むしかないということだ。私は気合を入れて、ウェリダンお兄様の目をしっかりと見る。

「もったいないですよ、ウェリダンお兄様」
「もったいない、ですか?」
「ええ、だって、初めて笑顔を見て、この人とは関わりたくないなって思ったら、それで終わってしまうじゃないですか。ウェリダンお兄様の良さは伝わりません」
「僕の良さ……だけれど僕は、別に他人にわかってもらえなくたって……」
「ウェリダンお兄様……?」

 ウェリダンお兄様は、ゆっくりと窓際まで歩いていった。
 その後ろ姿は、なんとも物悲しいものだ。それはもしかしたら、イフェネアお姉様が言っていたことが関係しているのかもしれない。友達との間にあったことが、ウェリダンお兄様の心に陰を落としているということだろうか。