妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ウェリダンお兄様は、いつもの笑顔を浮かべている。ただ、今はなんというか、嬉しそうにしているような気がしないでもない。
 段々と私は、その感情を掴めるようになってきている。多分、ヴェルード公爵家の人々は皆そうなのだろう。だからいつしか、この笑顔を問題視しないようになったのだ。
 これも個性の一つだということもできるかもしれない。ただ、本当にそれで良いのだろうか。私はいつか困る日が来ると、考えてしまう。

「ウェリダンお兄様は、立派な――お優しい方ですよね」
「おやおや、急にどうしたのですか?」
「だけど、その笑顔からはそれが伝わってきません。私は最初に会った時、ウェリダンお兄様のことを怖い人だと思っていました」
「……それは」