妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 イフェネアお姉様と生活をともにするということは、私にとってはありがたい話だった。
 貴族としての生き方を学ぶことができるというのは、今の私にはとても重要なことである。それを学べば、舞踏会の時のようにびくびく怯える必要もないはずだ。
 そんなことを考えながら、私は自室で過ごしていた。イフェネアお姉様の交渉が終わるまで、まだしばらくここにいることになる。改めて見てみると、やはり広い部屋だと思う。

「寂しいよね。村の時は、自分の部屋なんかなかったし……あれ? そういえば、イフェネアお姉様は、結局どうして私の部屋に? というか、どうやって入ったんだろう。鍵とか、かかっていないのかな?」
「もしもし?」
「うん?」

 私がイフェネアお姉様のことを考えていると、部屋の戸が叩かれた。
 そこから聞こえる声は、誰かわからない。女の人の声ではあるが、イフェネアお姉様ではない。
 でも多分、メイドさんとかでもないだろう。それにしては、挨拶が気軽過ぎる。あの人達は、一応私のことを令嬢として扱う訳だし。