妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ここは私の部屋である。その言葉を私は飲み込んだ。
 そんな主張をすれば、きっと不満を買うだけだろう。ここはヴェルード公爵家から与えられたに過ぎないのだから。
 この部屋の所有権などを主張できる立場ではない。だから私は、口をつぐんだ。しかし、わからない。どうしてイフェネア様はこんな所にいるのだろうか。

「……私は、前々から気に入らないと思っていたのよね。あなたにこの部屋が与えられたということが」
「……え?」

 イフェネア様は、ゆっくりと言葉を呟いた。
 それに私は、震えてしまった。その声色が、とても冷たいものだったからだ。
 要するにイフェネア様は、私のことを快く思っていないということなのだろう。

 二人のお兄様が味方についてくれて安心しきっていたが、ここが安心できる場所ではないと、私は改めて認識することになった。
 ここでは常に気を引き締めておかなければならない。そう思って、私は体を少し強張らせる。