妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

「……」
「……エフェリア、お姉様」
「クラリア……ごめんね? 今は少し、やらなければならないことがあるんだ」

 私はゆっくりと、エフェリアお姉様の名前を口にした。
 その言葉に答えてから、オルディアお兄様はその身を翻す。マネリア嬢の方へと、歩みを進めたのだ。
 オルディアお兄様のその行動には、隣にいたレフティス様も目を丸めている。どうやらそれは、事前の打ち合わせなどにはなかった行動であるらしい。

「エフェリア嬢、何をっ……!」
「エフェリアお姉様……」

 レフティス様と私は、ほぼ同時に声をあげていた。
 オルディアお兄様のマネリア嬢の方へと歩み寄るという行為は、危険極まりないものだったからだ。
 しかし、私達の制止の声なんてものは届かなかった。オルディアお兄様は、マネリア嬢の目の前に立っている。既に止めることが不可能な状況だ。

「……あなたがエフェリア嬢ね?」
「あなたは……?」