妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 お母さんがヴェルード公爵家の屋敷に来てからも、私はイフェネアお姉様の部屋で暮らしている。
 それは、私とお母さんの立場が違うからだ。妾の子とはいえ、侯爵家の血を引く私を使用人であるお母さんと一緒の部屋に住まわせることは、体裁として良くないらしい。
 それから、私が貴族として未熟であることも関係している。イフェネアお姉様から学ぶべきことが、まだまだあるのだ。

「さてと、そろそろ寝ましょうか?」
「あ、はい。そうですね」

 指導の時は厳しい所もあるけれど、イフェネアお姉様は優しい人だ。お陰様で私は、楽しい生活を送れている。
 そんなお姉様とは、寝る前に色々なことを話し合う。それはちょっとした雑談でしかないのだが、今日に関してはそれが長くなりそうな予感がしていた。
 なぜなら今日は、エフェリアお姉様への婚約の申し出という大きな出来事があったからである。そのことについては、イフェネアお姉様も気になっているはずだ。