妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

「ディトナス侯爵令息」
「な、なんだ?」
「今回の件について、ヴェルード公爵家としては金銭を求めるつもりだ。しかし、それで全てをなかったことにできる訳ではない」

 アドルグは、ディトナスを睨みつけた。
 すると彼は、父親の方に視線を向ける。それはまるで、助けを求めているかのようだ。
 散々威張っていた訳ではあるが、それでもまだ彼は子供であった。アドルグとの年の差は七つ。年上からの容赦ない圧には、耐え切れなかったようだ。

 しかしアドルグは、その気迫を緩めるつもりなどはなかった。
 そこで優しさを見せることは、どの観点から考えても不要であると、アドルグは思っているのだ。

「こちらとしては、あなたからの謝罪の言葉も求めておきたい所だ」
「ぼ、僕は……」
「あなたは間違いを犯した。それを自覚するべきだ。そしてやり直せば良い。今ならいくらでも間に合うでしょう。あなたは自分を律することと、謝罪することを今ここで学ぶべきです」