妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ディトナス様は、オルディアお兄様にも牙を向いた。
 彼は怒っている。それは今までも、わかっていたことだ。
 しかし、やはりその怒りというものは私に向けられていないような気がする。彼はもっと、身近な事柄に怒っているように思えるのだ。

「いいか。お前の妹の存在というものは、あってはならないものなんだよ。貴族が浮気して子供を残すなんて、恥さらしもいい所だ」
「……それは確かに、そうかもしれない」

 ディトナス様の言葉に、オルディアお兄様はゆっくりと頷いた。
 興奮している相手に対しても、どこまで冷静な対応だ。そんなお兄様を、私はすごいと思う。
 その言葉に頷いたことについても、私は納得している。浮気が良くないことだということは、私もわかっているつもりだ。貴族であるならば、猶更であるだろう。