妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ロヴェリオ殿下の言葉に、ディトナス様の表情が歪んだ。
 彼のその表情からは、怒りの感情が読み取れる。どうやら彼にとって、ロヴェリオ殿下の今の言葉はとても気に食わないものだったようだ。

「……そんな薄汚い奴を馬鹿にして何が悪いと言うんだ?」
「何?」
「平民などという薄汚い者達の血を引くそいつは、貴族なんかじゃない! 高貴なる世界を土足で踏みにじる悪逆どもだ。そんな奴らを自由にさせるなんて、これは貴族としての怠慢ともいえることだ。許されることではない!」

 ディトナス様は、その怒りをはっきりと口にした。
 ただ彼は、私の方を見ていないような気がする。先程からディトナス様がその視線を向けているのは、ダルークさんの方なのだ。
 私はなんとなく、二人の関係性というものがわかってきた。ただそれは、私がずっと成り行きを見守っていたからだ。