妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 そんな私は、人から声をかけられて少し驚いた。
 こんな所に人が来るなんて、思ってもいなかったからだ。しかもなんだか、口調が高圧的である。私一人で、きちんと対応できる人だろうか。

「あれ……? あ、あなたは……ディトナス様」
「ああ、僕だとも」

 私がゆっくりと振り向くと、そこにはディトナス様がいた。
 まさか声の主が、私をこの屋敷に招いた張本人であるなんて驚きだ。彼はグラスを持っている。その中に入っているのは、オレンジジュースだろうか。

「使用人から聞いたぞ? こそこそと会場から抜け出していったそうだなぁ?」
「え? えっと……」
「逃げ出したという訳か。まったく持って、みっともない奴だ」

 ディトナス様は、私のことを睨みつけていた。その視線から感じる明らかな敵意に、私は汗を流す。