妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ロヴェリオ殿下は、特に躊躇うこともなく賞賛の言葉を口にしてくれた。
 それがなんだか、とても心に染み渡ってくる。メイドさん達にも褒められたというのに、何故かそれらの言葉とは違う感情が湧いてきた。
 それはやはり、ロヴェリオ殿下だからなのだろうか。私は少し、固まってしまった。

「え? 嘘っ……ちょ、ちょっと、カルリア」
「……どうかしましたか?」

 そんな風に私が少し浸ってしまっていると、周囲のメイドさんの内一人が驚いたような声をあげた。
 誰かから話を聞いたらしきそのメイドさんは、お母さんに耳打ちをしている。すると直後に、お母さんの表情が変わった。目を丸めて、驚いているのだ。

「……カルリア? 何かあったのかしら?」
「レセティア様、その、クラリアの……婚約が」
「婚約?」

 レセティア様が声をかけると、お母さんは少し声を震わせながら、その言葉を口にした。
 そこで私は、目の前にいるロヴェリオ殿下と顔を見合わせた。私の婚約、それは一体どういうことなのだろうか。