妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

 ロヴェリオ殿下は、叔母様のことはそれ程よく知っている訳でもなかったようだ。
 思い返してみると、私が来てからのことを考えても、二人は確かにあまり顔を合わせていなかったような気がする。単純に二人とも忙しい訳だし、そういった時間に恵まれなかったのだろうか。
 そのためロヴェリオ殿下は、公的なイメージに印象が引っ張られていた。そういうことなのだろう。

「……こちらにいらっしゃいましたか」
「あら……」
「あっ……」
「あれは……」

 レセティア様も含めて、私達は中庭に向かって来ている人がいることに気付けなかった。
 話に集中していた故に、周囲の状況が見えていなかったのである。だから声をかけられて、やっとそれがわかった。
 その声の主がお母さんであることは、すぐにわかった。しかし、その姿を見て私は固まる。お母さんは、メイド服に身を包んでいたのだ。